ルーマニア遠征
(1998年7月)

                型・撃塞小                                     移動基本

         マスクをつけてもらってミットトレーニング                             アンカと

 7月11日(土)〜8月1日(土)の約3週間、ハンガリー・ルーマニア極真会からの招待で、現地の道場生達と稽古して来ました。毎年、招待されるようになって、3回目になりましたが、今回は三和純師範(城西三和道場)、大石守くん、杉山寿英くん(静岡支部)、村越淳一くん(横浜木元道場)、藤本晶三くん、洲尾泰生くん、山口晃生くん(高知支部)、私の8名で出発しました。更に現地では、デンマーク・オランダを周ってハンガリー入りした、三瓶師範、三好師範、新野くん(岐阜支部)、岡本君(城西三和道場)の4名と合流し、計12名でハンガリー国際合宿に参加しました。
 デンマークは武道センターの三角くん、オランダは岡本くん、ハンガリーは新野くんがレポートを書くことになりましたので、自分は、ルーマニアのレポートを書かせて頂きました。
 7月19日に三和師範達7名、7月20日に三瓶師範達4名が、日本に帰国して、自分は皆んなを見送って、ブダペストを離れ、ソルノックのカルマン師範の家へ、いつものようにホームステイして、2日間、自主稽古、一般稽古をしながら、空手について、カルマン師範と話しをして過ごしました。その後、7月22日〜26日まで、ルーマニアを訪れ、稽古をしました。
 自動車でカルマン師範に送って頂いて陸路ルーマニア入りしました。国境ではルーマニア支部長のキリラ・アレクサンドル先生に迎えに来て頂いたおかげで、スムーズに通過できました。余談ですが、ここへ来て、いつも思い出すのは、3年前、初めてルーマニアへきたとき、同じ頃、タレントの猿岩石の2人も、このルートを通ってルーマニアからハンガリー入りした事です。国境を通過したのは、ほんの数日の差だったと思います。

                                                 右からアンカ、キリラ先生、ビビアナ(キリラファミリー)

 さて、国境の街、オラデアに到着。この街を基点に、キリラ先生は、極真を広めています。キリラ先生は、柔道から武道を始めた方で、五段の腕前です。極真は弐段ですが、そのガッチリした体格でする組手は、パワーに溢れています。更にキリラ先生の家族について書かせて頂きます。奥様のマリアナさんも柔道の経験があり有段者、長女のアンカは極真の弐段、次女のビビアナは10歳で、7級です。まさに武道一家といった感じで、その影響は2人の娘達に現れています。アンカはヨーロッパでは、型の試合でも、組手の試合でも、上位入賞する選手で、ビビアナもルーマニアの少年少女の大会では無敵で、キリラ先生の2人の娘は、ルーマニア最強なのです。特にアンカの空手センスは抜群で、組手が強いだけでなく、基本、移動稽古、型も正確にこなします。最近は、組手試合に力を入れているようで、6月に行われた、スイスでの大会でも、リトアニアのローマに負けたものの準優勝をして、10月に行われるヨーロッパ選手権に備えています。このアンカの素質は並ではなく、古い世代の人にしかわからないかもしれませんが、もう極真をやめてしまったのですが、女性最強といわれた、スウェーデンのキッカーン・クックを越える素質があるのではないかと思います。このキッカーンには、茶帯あたりの男では、勝てません。黒帯でも、油断しているとあぶないという、まさに世界最強の女戦士でした。アンカはまだ、十分にその素質を花開かせてはいませんが、基本、型、組手と、その全てに優れている才能は、キッカーンを超えるものがあると思います。ただ、素質だけでは、どうにもならない、この世界です。アンカの今後の努力の積み重ねに期待したいと思います。

          キリラ先生の別荘のある避暑地で                             アンカとビビアナと

 私が今回稽古に参加したルーマニア極真は、現在約30の道場を持ち、約1500人の道場生が稽古しています。1990年5月30日に正式発足していますが、1984年から、ロシアのように秘密で稽古してきたそうです。
 さて、ルーマニア滞在中は、午前に稽古一回、夜稽古一回と一日二回の稽古を行いました。午前の稽古は、仕事の都合などで、約30名、夜の稽古は、40〜50名で、各地方からの参加者も目立ちました。今回は、通訳も無くひとりでしたので、片言の英語と、日本語で稽古を進めましたので、余り細かい説明なしで、ひたすら身体を動かしました。ルーマニアの稽古生は、素質に恵まれた人が多く、将来が楽しみなのですが、ただ、やる気がいまひとつ感じられない部分もあり、どこまで、真剣に空手に取り組めるかが、課題になると思います。もちろん、一生懸命な人は多いですが、いまひとつという人も、けっこういるということです。しかし、毎年かなり進歩しています。
 今年の10月31日にルーマニアのオラデアでヨーロッパ選手権が開催されます。もちろんキリラ先生が中心になって準備されるわけですが、キリラ先生は、道場の他に、ウエイトトレーニングのジムも経営、エアロビクスも娘のアンカが教えたりしている上に、アディダス、アシックスなどの有名メーカーのスポーツ商品や、学校、スポーツ団体で使う、スポーツ器具などの販売、卸しなどの事業をされている実業家で、金脈、人脈は申し分なく、きっと立派な大会を開催されると思います。

                                                    ミットトレーニング前のウォーミングアップ

                                     みんなで観光中

 皆さんも知っているように、ルーマニアはチャウシェスク政権から解放されて、まだそんなに過ぎていません。その傷跡は、心の中にも、街の様子にも残っています。インドでも、そうであったように、街には、物乞いの母子(ほとんどがジプシー)が沢山いて、街を歩いていても、車にのっていて信号で止まったときも、近寄ってきます。チャウシェスク政権のときは、肉も配給されるのは4人家族で、一ヶ月に2kg程度、子供達は、バナナ、オレンジ、パイナップルなどの果物は、見た事も無いので、何なのか想像すらできないといった状態です。その影響だと思いますが、甘いものに対する執着が強く、コカ・コーラや甘い飲料水、アイスクリーム、チョコレートなど、かなりの摂取量になっているように思えました。抑圧された反動の現れなのでしょう。
 その他には、一日4、5時間、電気を止められたり、一台の車にガソリン、一ヶ月あたり40リッターしか買えず、一日のテレビ番組は2時間のみ、わずか30分の映画番組のあと、チャウシェスク氏の偉大な業績を放送したそうですが、全てうそばかりであったようです。それから、いつ、だれが、政府機関に密告するか、わからない状態であったため、友達にさえ、自分の本当の気持ちを話すことができない毎日だったようです。

           左から大石守君、アンカ、上は村越君                 稽古の合間に(右から新野君、岡本君、三和さん)

             日本人参加者で記念撮影                               ブダペスト観光

 今後ルーマニアが、どこまで、西ヨーロッパ諸国に近づけるのか、わかりませんが、頑張って、物質的にも、精神的にも一日でも早く豊かになって欲しいと思いますし、精神的な向上に、ひと役もふた役も買って出るのが、極真空手であって欲しいと思います。
 5日間のルーマニア滞在中には、稽古の合間に、景色の素晴らしい山や湖、スイミングプールなどに毎日連れていって頂いたり、大変良くして頂きました。忙しい仕事の合間に都合をつけて接待して下さったキリラ先生、毎食食べきれない程の食事を用意して下さった奥様、そして毎日いつでも付きっ切りで私の世話をしてくれたアンカ、いつも笑いを振り撒いて楽しい時間をくれたビビアナちゃん、キリラファミリーのおかげで、いつも本当に楽しいおもいでをつくる事ができます。本当にありがとうございました。
 無事、ルーマニアの日程を終了し、キリラ先生に車で、カルマン師範の家まで送って頂きました。
 ルーマニアから戻ってからは、稽古は、夜の一般部だけに出て号令をかけ、稽古で汗を流し、日中は、ひたすら温泉通いをして、疲れをとる事にしました。カルマン師範の配慮である事は、言うまでもありません。身も心もリフレッシュできた頃、カルマン師範達に見送って頂いて日本に向け出発しました。
 体調も良く(カルマン師範、キリラ先生の奥様方には、滞在中、痩せたら困るという事で、食べきれない食事を、用意して頂きました)、時差もほとんど影響なく帰国する事ができました。
 現地でお世話になりました、カルマン師範、キリラ先生をはじめとする皆さん、ハンガリー国際合宿で楽しく、厳しい稽古を一緒にやりとげた日本チーム?の皆さんには、感謝の気持ちで一杯です。本当にありがとうございました。これからも、大山総裁の遺された極真に協力が少しでも出来ますよう、精進していきます。
押忍

 左から三好先輩、三瓶先輩、アンドレアさん、カルマン師範、新野君                   観光中の食事

            夜の街を稽古生で散歩中                               カルマン師範の道場にて

                 稽古終了後              


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