2010年、ルーマニア夏合宿の参加
遅くなりましたが、2010年、東京西支部からルーマニア合宿に参加した北崎文春、4級の作文です。極真空手は100カ国近くに支部があります。言葉は違っていて、宗教が違っていて、文化も違いますが、皆は「極真空手」という共通語でつながっています。
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ルーマニアレポート
北崎文春

重いスーツケースにバックパック。これから海外の合宿に参加、と思うと気が引き締まります。師範と中央線と成田エキスプレスを乗り継いで、ルーマニア合宿参加のため成田空港まで。そして、ここまで来ると否応なしに、海外に行くのだなという実感が湧いてきます。ですが、航空会社のカウンターでチェックインしてみると、フランスの空港でストライキがあり、乗り継ぎ便が遅れるとのこと。私はそのようなことも慣れていないので、少々先行き不安なスタートとなりました。

 

成田から経由地のフランスの空港までは順調に事が運びました。そして、予定より約3時間遅れのブタペスト行きの飛行機に搭乗してみるとアナウンスがあり、他の乗客の様子からさらに遅れそうな感じ。機内で離陸までさらに1時間ほど待たされました。やれやれという感じでブタペストの空港へ。

5年前のハンガリー合宿時は、ルーマニアの方も来られていて、その時からルーマニアにも行ってみたいと思っていました。今回の機会を与えてくださった柚井師範、ルーマニアの先生方には大感謝です。仕事の関係でこの時期でなければ、また、新型インフルエンザが流行した去年でしたら参加できず、運もよかったです。

ただ、ハンガリーの時は小中学生を中心に数名の参加がありましたが、今回道場生は私だけでしたので、少々寂しい気もしました。

 

ブタの空港には、ハンガリー合宿でたいへんお世話になった通訳役のドーラ先輩が車で迎えに来てくださっていました。3時間位走ってハンガリーとルーマニアの国境があります。ゲートでパスポートを預けますが、地続きのところで見せるというのも日本人としては不思議な気がします。日本人は外国人のせいか、けっこう待たされました。

それから、国境から少し入ったところでマリウス・イラス先輩と合流しました。私は後で知ったのですが、マリウス先輩はルーマニア、いやヨーロッパでトップクラスの選手です。その偉大な選手でもある彼にルーマニア滞在中、私までずっとお世話になってしまいました。

合宿開催地であるオラデアに着き、中心街のレストランに寄りました。偶然2年前師範が指導に来られた時通訳をされた現地の日本人学生に遭い、これも縁であろうかと思ってしまいました。そこから車で間もなくして宿に着きました。現地時間で夕方着く予定でしたが、時計はほぼ夜中を指していました。長い一日でした。

 

さて、その合宿です。初日の夕方、二日目・三日目の朝と夕方に稽古がありました。そして、合宿の翌日、四日目が昇級昇段審査でした。

 

7/22㈭合宿一日目。柚井師範のお話(指導)の内容を簡単に書きます(表現が上手くないかもしれませんので、ご了承ください。)ペアを作る。片方の人が正座から立ち上がろうとするのを、もう一人が肩の上から押えて邪魔するなど。東京西支部の上級者合宿でも行われたものです。師範が、丹田を意識していれば上から押えられても難なく立てる、ことを話されました。

太極Ⅲの型で、以前からなのだそうですが、ルーマニアでは(ヨーロッパでは?)内受けから牽制をしている人としていない人がいます。ルーマニアでは違う解釈もあったようですが、受けから突きに自然に移行すれば牽制となるのではないか、ということです。

終了した時、まだ明るいので夕方5時くらいの感覚でいたら、サマータイムでもう夜の9時でした。

 

7/23㈮二日目。朝は体力的な稽古になりました。まず、拳立て、ジャンピングスクワットの補強。それから、反り跳び。私はホームページ用の写真を撮っていてジャンピングもやっていませんでしたが、結果は情けないことに。

ペアになり、初めオフェンスとディフェンスに分かれて軽いスパーリング。相手の突きにカウンターで自分の突きを合わせて相手の腕を突く受け返し練習。

5人のグループを作り、スパーリング、ミット、ジャンピングのサーキット練習。

 

夕方の稽古。移動、型など伝統的なものです。帯別の稽古があり、緑帯のグループに入りました。平拳や弧拳受けの移動など、日本ではやっていないものもあり、興味深かったです。(写真撮影のため全部はできませんでした。)ところで、合宿での道場は屋外の草むら。見た目はあまり分かりませんが、前屈立ちなどで移動してみると地面に相当凹凸があるのが分かり、最初やりにくかったです。

 

7/24㈯合宿三日目(合宿としては最終日)。朝の稽古は昨日と同じで体力とスパーリング・受け返し、サーキット練習など。反り跳びは後ろアヒル歩きなどもやりましたが、私は全く要領を得ず、さらに惨憺たる結果でした。

 

夕方は帯別にはならず、平安Ⅱ~Ⅴの型の分解。これも帯研や上級者合宿など日本で師範から指導を受けたことがあるものですが、それをルーマニアの道場生とやりました。

なお私は初めて聞きましたが、型の分解には一般的に知られている意味とそうでないものがある。船越義珍先生が大学空手部を中心に本土に普及させた空手は、沖縄古来のものとは違うとのことでした。一般的な動きの方の分解はその場ではなんとかなりましたが、そうでない方はほんの一部しかできませんでした。ですが、確かに素人目にも後者の方が実戦的に思えました。

最後に師範から、川の水を上流の村が独占しようとして堰き止めた。しかし、初めはいいようだったが、水がよどんで腐ってしまった。下流の村は取水できず、トータルでひとつもよいことはなかった。また、自分のことのみならず、人のために何かができるようでなければいけない。そのためには、普通の人は聖人ではないので、まず自分を充実させなければならない、などのお話がありました。欧州の人には少し馴染みにくいところもあったかもしれませんが、趣旨は理解していただきたいと私も思いました。ちなみに通訳は、師範が話されたことをドーラ先輩が英語に。それをハリス先生がルーマニア語に訳す、というものです。空手に関することは日本特有の言葉もありますから、実際に空手をやっている人が訳しているとはいえ、ご苦労も多かったのではないかと思います。ルーマニアやハンガリーの人達は、特に若い人は英語の段階でほぼ理解しているようでした。

 

7/25㈰昇級昇段審査。基本、移動、型…私も緑帯の受審者に混ざってひと通りやらせていただきました。ただし、本当の受審者の邪魔にならないように端の方で…。やはり、移動は普段日本でやっているのとは違い戸惑いましたが、基本を理解していればなんとかついていけるものでした。

そして、師範のご配慮で(!?)昇段審査の連続組手で相手の一人をやることに。受審者は当然茶帯。対戦相手は茶帯か黒帯です。緑以下色帯は、大きくて若くて血の気の多そうなのが例外的に混ざっているだけ。そして組手が始まり、自分も結構いけるもんだなと思ったのも束の間すぐにスタミナが切れ、2回しか回ってきませんでしたがへとへとでした。

 

稽古以外、滞在中の生活について触れます。マリウス先輩には温泉や食事、観光スポットに連れて行っていただきました。

ルーマニアも温泉大国です。ハンガリーの時とは違い、無色透明でした。温泉といっても温水プールのより温かいの、という感じです。22日合宿前に行った時はドーラ先輩もいらっしゃいました。昼食時、師範に美味しいスープを教えていただきました。

その日夕食後、ペンションのテラスでカルマン師範ご夫妻にハンガリーのお菓子を何種類かいただきました。どれも日本では見たことがないもので、手作りのとても美味しいものでした。

 

23日夜にはハリス・ワルメン先生、アンカ・ワルメン先生のお宅に伺いました。ご夫妻には、赤ちゃんが生まれたばかりです。アンカ先生は5年前のハンガリー合宿、以前東京西支部の親睦合宿にも参加されましたので、私も久し振りの再会となりました。

25日にはアンカ先生のご実家に伺い、いろいろとご馳走になりました。バーベキューなどのセットがあり、ステーキやデザートのお菓子をいただきました。アンカ先生のご両親が経営されている会社で出されているトレーニングマシーンを見学させていただきました。お父様は空手の先生であると同時に柔道の先生でもあり(要職にあり)、柔道で出張されているとのことでした。そして、ハンガリーでお会いしたビビ先輩(アンカ先生の妹)にもまたお会いしました。

 

7/26㈪(合宿・審査も終わり)今日はオラデラの街を楽しむことになりました。

朝食のため連れて行っていただいたレストランでマリウス先輩とビビ先輩に聞くと、ルーマニアの新極真会は、首都のブカレスト等には道場はなく、西部のトランシルヴァニア地方のみに展開しているとのことでした。トランシルヴァニアは戦前までハンガリーの領土であったところであり、ガイドブック等によると今もハンガリー語を話す住民もいるようです。この時に限りませんが、先輩達に教えていただいたおかげで、ルーマニアの伝統料理も食べることができました。

午前中、今度は別の温泉に行きました。今日は気温が低いので熱いお湯もあるところ、となりました。(師範と私)ビビ先輩に渡羅時には師範にマッサージをしてくれる先輩も一緒です。日本と違い、曇るとかなり涼しくなります。付近は公園になっており、移築された黒い木造教会を見ました。世界遺産の教会は見られませんでしたが、それに類するものだと思いました。

午後、アンカ先生とも合流しオラデラの中心街を歩きました。面積としては広くはありませんでしたが、たぶん中世からの建物が立ち並び、ヨーロッパの雰囲気を味わいました。その後少し移動して、星型の要塞を見ました。マリウス先輩によると修繕中で何年か掛かるとのことでした。

夕方、大きいショッピングモールに買い物に行きました。そこのスーパーマーケットで偶然マリウス先輩のお父様に遭いました。そして、合宿の様子が載っていると地元のフリーペーパーを持ってきてくれました。そしてまた偶然、その1面に私と地元の道場生が受け返しの練習をやっている写真が載っていました。彼はなんと青帯ながら22歳以下のヨーロッパチャンピオンとのこと。身長も190㎝くらいあり、まるで大人と子供でした。

マリウス先輩が指導されている道場も見学させていただきました。細長いながら広く、マットが敷き詰められていて、手前に並んでいるウェイトトレーニング用のマシーンも充実しています。選手などの写真も飾られていて、ここから強豪を生み出しているのだろうか、と思いました。

 

わずかではありますが、地元の方との交流もありました。宿の前の商店で、前の日に店員の人にユーロで払えると聞いていたので、水を買おうと払おうとしたら、今日は別の店員さんでどうもだめらしい。英語も通じないようだったので、どうしようかなと思っていたら、さっと道場生らしい方が現地通貨で払ってくださいました。初め意味が分からずキョトンとしていたのですが、どうも私の代わりに払ってくれたということが分かりました。その後、ホテル内や稽古前などに会った時に、両替できるから立て替えていただいた分は払う旨を話しましたが、「オス、オタガイサマッ!」と言って受け取らないと。彼は英語は得意ではないようでしたが、マリアンさん(日本人には女性の名前に聞こえますが男性)というオレンジ帯の方で、私と同い年ということが分かりました。合宿最終日フランスの空港で買ったチョコレートがまだあったのでプレゼントしましたが、翌日(審査の日)ルーマニアのお酒をいただいてしまい恐縮しました。新極真会と東京西支部のURLをお教えしましたが、見ていただいているでしょうか。

その他、稽古で同じグループになった方と「どちらの道場ですか」など簡単な会話をしました。柚井師範は空手発祥の地から来た師範ということで、現地の道場生には憧れの的だと思いますが、合宿最終日や審査終了後サインや写真を求められていらっしゃいました。私も一緒に写真をと頼まれた時があり、恥ずかしながら道場生のみなさんと写りました。

合宿最終日の夜、ホテル前のベンチに集まり、師範への質問コーナーのようになりました。向こうの道場生にとってはめったにない機会でしょう。みなさん熱心に質問されていました。

 

今回、5年前のハンガリーを思い出し前回のような失敗はしないようにと臨んだつもりでしたが、結果的には至らないことばかりでした。お恥ずかしい限りです。とかく木を見て森を見ずになりがちな自分に気付かされます。今回の経験を今回だけのこととせず、今後の稽古、生活にどう活かすかが問われているのだと思いました。

ドーラ先輩とビビ先輩には5年ぶり、アンカ先生には(日本での)合宿以来お会いできて嬉しかったです。マリウス先輩には生活全般についてお世話になりました。見習わなければいけないことばかりです。来年の世界大会ではぜひ応援させてください。カルマン師範ご夫妻には高尾山を案内したお礼と私にまでお土産をいただきました。柚井師範はもちろん、ルーマニア・ハンガリーの師範、先生、先輩方、道場生のみなさん、大変お世話になり心より感謝いたします。でもこれも何より日本の道場生のみなさんのおかげです。押忍、ありがとうございました。