2007年秋季合宿
10月20日、21日、東京西支部の秋季合宿が東京都八王子市、高尾の森わくわくビッレジで行われました。今回もいつもと同じように道場生の集まりがよく、約190名が一泊二日の合宿に参加しました。今年は世界大会の次の週末というタイミングもありまして、師範やウルリカ先生が以前からお付き合いのある海外師範をお招きしての合宿となりました。今の若い世代には分からない名前の外国人師範ではありますが、一般部の道場生にとっては、昔から有名な師範のご指導を受けることが出来て、かなりの貴重な体験になったのではないでしょうか?また、子供達が知らなくても、極真空手の歴史を創って来られた師範方の直接指導を受けることが出来たことは心の中のどこかに残り、きっと勉強になるでしょう。
写真     作文       海外の師範方からのコメント 11月27日更新   
                
11月18日更新
師範のコメント
恒例の秋合宿が日帰り参加者を含め過去最高の190名を越える参加者で行われました。毎回東京西支部総会員数の7割以上が参加する、大きな行事です。今回、他支部からは厚木、赤羽支部の中島先生と中村樹慧の2名だけでしたが、特別講師にこれまで私やウルリカ先生がお世話になった海外の師範方に来て頂きました。スウェーデン支部長のブライアン・フィトキン師範(七段)、ハワード・コリンズ師範(七段)、ミカエル・ソーデルクヴィスト師範(五段)、ハンガリー支部長のフルコ・カルマン師範(六段)です。ブライアン師範は4人の中でもかなり古い師範です。私と同じ大山総裁の内弟子出身の大先輩であり現在極真連合会で活躍されている大石代悟師範が言われていましたが、大石師範が第一回世界大会にむけて日本代表選手として稽古に励んでいたとき、プライアン師範が世界大会に出るらしいという噂を聞いて(実際には、プライアン師範はケガの事情で参加されていませんが)昔、本部道場で稽古をつけて貰った経験がある大石師範は内心”日本は勝てないんじゃないか?”と思った程の強者だったそうです。

コリンズ師範は、劇画空手バカ一代でも有名であり、全日本大会、全世界大会で活躍された師範です。ミカエル師範も全日本大会、全世界大会、で活躍され、ウルリカ先生の一番最初の空手の先生(プライアン師範、コリンズ師範にも一時的に師事していましたが)です。カルマン師範は、4人の中で一番私との付き合いが古く、長く軍隊の教官をしていましたが、現在は引退。身体が大変大きく、第2回世界大会にも出場しています。
今回4名の師範方に参加して頂きまして、初日の第1回目と最終日最後の稽古は私が担当しましたが、その他は、全て各師範方に分担して稽古をつけて頂きました。

一度に高名な4名の師範方に来て頂くという事で、準備、手配などそれなりに大変な事もありましたが、稽古生のみんなが、真剣に、真面目に、楽しく稽古をしていましたので報われた思いです。きつい稽古あり、楽しい稽古ありで大好評でした。ただ4人の師範方は、厳しいときと楽しいときのメリハリをつけてやる東京西支部のスパルタ稽古の雰囲気に目を丸くして驚いていましたが、元気に気合いの入った稽古生を見て納得していたようでした。合宿参加者にとって、2度とないかもしれない4名の師範方の同時参加という事で、大変良い勉強になったと思います。世界大会があるという事で思い切って企画してよかったと思いました。師範方の合宿のコメントも近々載ると思いますのでご覧になって下さい。

合宿とは話が逸れますが海外の4名の師範方が参加してして下さった絡みで世界大会の事で話をしたいと思います。今回、塚越君が頑張って優勝してくれましたが、予想通り外国人選手が恐ろしい程の強さを発揮していました。しかし、その恐ろしい程の強さと引き換えに大切なものを失ってしまっているように見受けられました。(もっともこれは、今始まった事ではなくいつの時代も同じなのですが)それは何なのか?武道を志す者が忘れてはならない謙譲の美徳、謙虚さです。今回も強さが目立ったのは、ロシア、東ヨーロッパなどの元共産圏の国が多かったです。ロシア、ハンガリー、リトアニア、ブルガリア、カザフスタン(特にこの国は石油で儲かっており、スポンサーのお蔭で組織的にも強くなり、選手も強くなったので支部長からして態度が悪くなり、以前とは別人)など、本当に手がつけられないほどの強さ(笑)で大暴れしていました。しかし、選手は当然の事ながらコーチや応援の稽古生共々、”俺達は、強いんだ、凄いんだ、偉いんだ”という波動をを恐ろしい程感じましたし(笑)、セコンドとして応援している時はもちろん、会場内での態度からも感じました(ブルガリアのバレリーからは余り感じませんでしたが)もちろん、知っている人達には”押忍!”としっかり挨拶していますから普通の人にはわかりにくいかもしれませんが(当然、これらの国の稽古生で私を知っている人達は、しっかり挨拶してくれていますが謙虚さは、表面上の挨拶では何のバロメーターにもなりません。内面から滲み出てくるものだからです)、強さと引き換えに大切なものを失っているのはあきらかでした(付き合いの長いカルマン師範には、名前を挙げて、ハンガリーの連中は、強くなったけど応援を含めて態度が悪いといいましたが、どうしようもないんだといった感じでした)。本来このような事を優勝した塚越くん以外が語ってはいけない事なので私なんかが言うべきことではないのですが、東京西支部稽古生のみんな為に、世界大会に出場してもいない私が恥を覚悟で言っています。”人生プラスマイナスゼロ”、”何かを得れば、何かを失う”、大自然の法則、摂理は絶対です。急速に、見境いなく”強さ”を求めて得た分、心の部分で大切なものを失う事になってしまっている。焦らず、もう少しじっくり精神面を気にかけながら強さを求め努力を積めば、(時間がかかったという代償と引き換えに)、心の部分で失う事が少なくて済むはずなのです。急いだ代償として失ったものは大きいです。では、精神面第一で、強さは疎かでいいのか?空手、武道を志す以上、強さを求めなくてはいけません。”力なき正義は無能なり、正義なき力は暴力なり”よく大山総裁が言われていましたが”力(強さ)”も”正義(精神)”もどちらか一方では意味がありません。宗教ではないので、空手を始めた以上まず”力(強さ)”を追求し、それを追及する過程で”正義(精神面)”の大切さに気付き武道家として成長していくのが本来の姿でしょう(強くなければ正義は役に立ちませんから)。では日本選手はどうなのか?ベテラン選手は辛い経験をしながら成長し現在があるので謙虚さを持ち合わせている選手が多いですが、”急速”に強さのレベルが上がった女子選手、ユース出身の若手選手は当然強さと引き換えに失っているものがありますから、今後色々な先生方の教えを受け、これからの様々な経験を積むことにより謙虚さを身につけていくことでしょう。
若さゆえの傲慢さがあって当然で、その傲慢さが強さを求める原動力になっているのも事実です。人間は、この世に生を受けた瞬間から我欲が発生し、傲慢になるといわれています。つまり、生まれ出た瞬間の赤ん坊のときから周りのことなど考えず(もちろん周りを気にする赤ん坊なんていませんが、、、、笑)、自分の欲求の為に大泣きして”お腹がすいているから何か食わせろ””眠いから何とかしろ””俺の面倒を見て、しっかり育てろ”とアピールします。そのままだと大変な性格の人間になってしまうので、まず身近な家族(親兄弟)を通じ、次に友達を通じ、社会に出て色々な人達と出会い、ケンカしたり、揉めたりしながら辛い思いを通して我欲を抑える事を学び、周りに気遣いができる人間に成長して行く、、、(心無い親はそれが分からず、いつまでも服を着せてあげたり、靴を履かせてあげたり、贅沢させたり、楽をさせ好き嫌いを許し、子供の要求通り甘やかせて、子供を駄目にしています)。そういった謙虚な部分が強さを早急に求めるあまり、疎かになってはいけません。

人生において、調子が良く、プラスを得ている時こそ、同時に見えない気付かない何かを失っている事に気付き、注意反省しなくてはならないと思います(当然私も含めて)。有名になる、トロフィーを沢山もらう、目に見えるものを得た分だけ、見えない心の部分で失っているものがある可能性大です。最近うちの道場でも、試合で勝ち、強くなったがゆえに親子共々、精神的ズレが生じた一件がありました。時間をかけて”ホームページ”や”極真だより”で遠回しにコメントし”謙虚さ”について全稽古生、御父兄に気付いてもらおうとしましたが、わかって貰えない方々も多く、その親子は勝手な事ばかりやるようになったため、波長も合わなくなり東京西支部で学ぶこともないだろうから”もう道場に来なくていい”とうちの道場を強制退会してもらったという身近な例がありました(謙虚さが薄れる前は元々しっかりやっていたので、子供達の可能性を潰さない様にする為、この親子には別の道場で頑張れる手配をして、もう一度原点、初心に戻って精進して欲しいという意味を込め、私としての最後の愛情を示しました)ので東京西支部の稽古生のみんなさんは良くわかっていると思いますが、焦らず時間をかけて努力し、目先の目に見えるものに一喜一憂せず”力”と”正義”両方を磨くように心掛けて欲しいです(もちろん私も)。

世の中が世の中だけに目に見えるものだけに捕われ、急いで近道をして何かを得たいと思う人間が増えてきて当然なのかもしれませんが、現状に流されることなく、気をつけなければいけません。一例を上げます。5,6年前まで毎年続けて合宿やセミナーに行っていて付き合いの長いハンガリーとルーマニアですが、少しづつ、地味できつい稽古、日常生活をするより、より近道を選び、早急に結果を出したい(遠まわりに見える事こそ、本当は一番の近道なのですが)と考える人間が増えてきて、本来武道に必要な稽古、心構えを理解できないようになってしまいました。私が双方に行き始めた頃には、カルマン師範((ハンガリー)、キリラ先生(ルーマニア)が国のトップでしたが、2人が年をとって事実上第一線から遠ざがり、ハンガリーでは若手の連中が力をもち、ルーマニアでは娘のアンカが父親の代わりをするようになった頃から古臭いと思われそうな、昔の良い部分を意識する稽古生が少なくなってしまいました(別に人間性が悪くなったとかではありません、、、、笑)。長くハンガリー、ルーマニアに行っているうちにそれを感じ、みんなに話をするのですが、なかなか心からわかってもらえるものではありませんでした。そのため、5,6年前に突然”もう、合宿、セミナーには来ない、俺が来る意味がないから”と言って行かなくなりました。何とか来てもらえないかと毎年、依頼されていましたがずっと断っていました。私が伝えたい事がわかってもらえないなら、無駄な時間を使う必要もないし、私じゃなくても他に変わりがいると思ったからです(今はあきらめて、今年はハンガリーに谷川くん、ルーマニアに伊師さんが行き、久しぶりに日本人が招待されたようです)。
勿論、カルマン師範やキリラ先生、アンカと不仲になったわけではないので、特別なセミナーの時はハンガリーに行きましたし、アンカを東京西支部の合宿に招聘したこともあります。カルマン師範、キリラ先生が大切に思っていた部分を若い世代の連中が引き継がなかったために、短期間で強さは身に付きましたが、大事な精神的な部分は失われてしまっています。ルーマニアは、強い選手が育ちつつある段階なのですが、世界大会で勝ち始めたらハンガリーと同じような状態で似たような態度になるでしょう。とにかく、ハンガリー、ルーマニアという毎年ごとに変わっていってしまった事実例をみてきて、時代の流れに乗ってしまう事無く、常に自身を省みて頑張らなければいけないとつくづく思いました。

今回の世界大会では改めて”何かを得れば何かを失う””目に見えるものに捕われていると、気付かないうちに目に見えないものを失っている””人生プラスマイナスゼロ”という大自然の法則を再確認できたうえ、4人の高名な師範方を合宿にお招きできて、世界大会の恩恵を多分に受ける事ができました。組織に感謝しなくてはいけません。ありがとうございました。そして合宿参加者の皆さん大変お疲れ様でした。御父兄の皆様には少年部稽古生が合宿参加で勉強出来る様に時間、費用の都合をつけて下さいましてありがとうございました。

ちょうど2年前のルーマニアのアンカを招聘したのを皮切りに特別講師として、石原くん、川原くん、塚本くん、今回の4人の師範方に来て頂きましたが、今後は私が必要なタイミングを見計らった頃に東京西支部にとって必要な先生をお招きするようにそろそろしたいと思います。確かに講師の先生方をお招きするとプラスが沢山ありますが、同時に同じ分のマイナスもあります。表面的に刺激を受けますし楽しいというプラスがありますが、上っ面だけに目が向き、しっかり学んでいるような錯覚に陥り、内面的には身につかない、、、つまり、本を読んだだけでわかったような気になってしまうというのと同じ状態になりやすいのです。表面的な刺激も必要ですし、それを染み込むように内面に蓄積させる事も両方必要です。ですから今後は、私が必要と判断したときに講師の先生に来て頂くようにしたいと思います。内容充実した私の厳しい稽古三昧の楽しい?合宿の復活です、楽しみにしていて下さい(笑)! 押忍。