有山一富さん



 我が家と空手の出会いは、4年程前、次男の滉大が、学校のお友達に誘われて、日野の東部会館で体験稽古をしたことでした。
 男の子なので、何か武道をやらせたい、と漠然とした思いはあったのですが、実際に見学してみて「こういう凛とした雰囲気の中で礼儀作法も身についてくれればいいなぁ」と思い、長男の俊太郎も一緒に入会させて頂くことにしました。
 初めは、週1回の気軽な習い事のつもりでしたが、二人が青帯を頂いた頃から、それではついていけないと感じ、週2回に増やしました。けれど、他の稽古場は我が家から不便な場所が多く、近くの道場生の車に乗せてもらって、通うことになりました。(情けないことに、私がペーパードライバーなので)それ以来、送り迎えでは、多くの御父母の方々のお世話になり、今に至っています。この場をお借りして、お礼を申し上げます。
 空手を始めたことによって、子ども達自身が逞しくなったのは勿論ですが、親のほうも変わりました。主人は、それまで、非常に出不精で、たとえすぐ近くでも、日曜日に運転して出かけるのが嫌な人でした。けれど、子供が厳しい稽古に耐え、挑戦していく姿を間近に見たからでしょうか、昨年の新潟大会の際、日帰り強行軍なのに、自分から「連れていこう」と言うほどになったのです。
 私も、元々、格闘技には興味がなく、むしろ好きではなかったのですが、子供の試合を見るうちに、かなり「アツイ」人間になってしまいました(笑)
 大会に出ても、勝てないと辛いですが、負けて悔し涙を流す子どもと、その思いを共有することは、親子の絆を強くしてくれたのではないかと思います。また、型の試合でも、普段ヘラヘラしている息子が、張り詰めた空気の中で、自分の精一杯の力を出し切って頑張る姿には、感動させられます。そして、空手の行事の度に家族で行動し、皆で一日を過ごす、というのも今時の中学生にはあまり無いことで、親としては、有り難く思っています。
 武道においては、厳しい稽古は当たり前だと思いますし、こちらの支部にお世話になっているのも、真の強さを身に付けるとともに、現代社会で失われつつある、大切な事を、身をもって学べると思うからです。
 しかし、親なら誰でも、自分の子が可愛いし心配ですから、時に、過度とも思えるトレーニングに疑問を抱いてしまい、ケガをしないか、体を痛めないか、と日常生活への影響等を考えることもあります。けれど、それは、今後体験するであろう、高校の部活の厳しさや、社会の上下関係の中で遭遇する理不尽さに耐えていけるだけの精神力を養う試練なのだと思うように努めています。(まだ、そういう悟りの境地まで達していませんが・・・)
 ただ、人は誰でも[誉められて伸びる]という面を持っていますから、厳しさの中でのなにげない言葉が、子ども達の更なる可能性を引き出してくれるのではないかとも思います。
 また私は、仕事で、少年部と同じ年頃(幼児〜中学生)の子ども達と接し、指導する側に立つことがあるのですが、高学年でも、挨拶が出来ない子も多いし、「はい」と素直に言えない子、教える者に対しての口のきき方を知らない子もいます。
 それに比べて、東京西支部に来ている子ども達は、とにかく素直ですし、どんなに幼くても、挨拶を心がけ、教えられたことを実践しようとする様子には感心します。こういうことが、支部全体に浸透しているのは、とても素晴らしいと思います。
 私たち家族にとって、道場生やそのご両親と出会えたことが、空手を続けていく上で、大きな励みになっている点も書き添えたいことの一つです。
 とかく、難しい年頃の長男も、彼を実の兄のように慕ってくれる、小さな子ども達に優しく、よく面倒を見ています。その姿を見ていると、微笑ましくもあり、親として嬉しく思います。同様に、うちの息子達も皆さんに可愛がられ、親身になって接して頂いています。また、親同士も、学校関係のお付き合いとは違い、同じものを目指している、という強い連帯感があるような気がします。
 空手を習っているかぎりは、勿論強くなってほしいですし、帯も上を目指して頑張ってほしいと思います。けれど、まず、人間としての成長を心から願っています。「玉、磨かざれば、器を成さず。人、学ばざれば、道を知らず。」と言いますが、空手の稽古を通して色々な事を学び、心を磨き、そして[自分に厳しく、人に優しい]=器の大きな人間になってほしいと考えています。
 二人とも中学生になり、部活や塾で忙しく、空手だけに打ち込む、というわけにはいきませんが、せっかく出逢えた[極真]の道を、できる限り歩き続けてもらいたいと思います。




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